M・M・LOコラム

第7

お引越し

ついに事務所引っ越しとあいなった。


1964(昭和39)年に新築された京都商工会議所ビルも築50年余を経て古くなり、ついに京都商工会議所の移転、現在のビル取壊しが決定され、テナントはそれぞれに新たな落ち着き場所を探さなければならなくなったのである。
当事務所の沿革を振り返れば、故前堀政幸先生が京都商工会議所ビルに事務所を開設されたのが、1965(昭和40)年のこと。当時、この界隈には近代的なビルは殆どなく、民家を事務所とする弁護士が大半であったと聞く。思えば、できたてホヤホヤの近代的ビルで執務される故前堀政幸先生は、なかなかモダンな弁護士でいらしたのだ。
半世紀の時を重ねた今も、京都商工会議所ビルはよく管理されていて居心地がよく、地下鉄烏丸線とも直結されていて便利。愛着もあるので引っ越しは残念だが、建物の耐震問題もあるから、取壊しはやむを得ないのだろう。

さて、引っ越し(荷物運び出し)まであと僅かとなり、事務所所属の弁護士は、「各担当事件の記録の整理等を早く進めるように」(整理済の記録は倉庫に預けて一定期間保管する)との厳命に落ち着かない毎日を送っている。私も僅かな時間でも積み重ねが大事と、少しずつ記録等の整理に取り組んでいるが、なかなかはかどらない。

まず問題なのは、事件終了後何年も経っているのに、その事件の打合せメモから事務所内での協議の記録、連絡書等諸々の書類が関連資料や判例、参考文献のコピー等とともにどっさり残っていることである。事件が動いている時には、ひょっとして何かで必要になるかもしれないと、細かいメモまで保存する。事件終了後も、ひょっとしたらまだ何かの必要があるかもしれないと、裁判所でのやり取りの記録を綴じたファイルと一緒に相当量の紙の束もロッカーに仕舞い込み、そのままとなっているのである。多量の紙の束が整理の時を待っている。
表に出ない記録にも想いが籠っているし、意味がある、この資料は他の事件に役立つかもしれない、などと思って見ていると、つい時間が経ってしまう。この性格を何とかしなくては、などと反省していると、また時間が経ってしまう。いやはや、である。
引っ越しは苦手だが、モノと気持の整理にはよい機会である。
 

ご依頼者をはじめお世話になっている皆さま方には引っ越しで何かとご迷惑をおかけすると存じますが、今後とも何とぞよろしくお願い致します。

中川郁子 2017.11.27